パソコンやサーバーに不具合が起こった時は、データを復元するためにリストアやリカバリーといった作業を行う必要があります。リストアとリカバリーは似た意味合いで使われる言葉ですが、どのような点が異なるのでしょうか。
今回は、パソコンやサーバーにおけるリストアの意味や、リカバリーとの違い、リストアやリカバリーを実施する際の注意点などをご紹介します。


1 リストアの意味とは？
2 リストアと関係が深いバックアップとリカバリー
   2-1 バックアップ
   2-2 リカバリー
3 リストアやリカバリーを実施する際の注意点
   3-1 リカバリーではパソコンのデータが消えてしまう
   3-2 時間がかかる
4 リストアが行えないことも
5 リストアの理解を深めて重要なデータを守ろう

リストアの意味とは？

リストア（Restore）とは、元の状態に戻す、修復（復元）するといった意味を持つ英単語です。パソコンやサーバーにおいては、別の場所に保存しておいたデータやファイルを使って、不具合が生じたデータを復元するための操作を指します。

また、データを元に戻す目的だけでなく、他のシステムにデータを移動させるためにリストアを行うこともあります。

リストアと関係が深いバックアップとリカバリー

リストアがどのようなものかをよりはっきりと知るには、バックアップとリカバリーも併せて覚えておくと良いでしょう。それぞれの言葉の意味は、以下のとおりです。

1. バックアップ
リストアを行うには、別の場所に保存された元データのコピーが必要です。データの破損や消失に備えて、元データをパソコンやサーバー本体以外の場所に保存する行為がバックアップです。

バックアップは、ディスク内の全てのデータを複製するフルバックアップ、フルバックアップから変更・追加されたデータを複製する差分バックアップ、前回のバックアップから変更・追加されたデータのみ複製する増分バックアップの3種類に大きく分けられます。
バックアップの種類によって、リストアやリカバリーの作業にかかる時間や手間も異なります。

2. リカバリー
リストアと似た意味で使われる言葉に、リカバリーがあります。パソコンにおけるリカバリーとは、パソコンを工場出荷時の初期状態に戻す操作のことです。
リカバリーを行うと、自分がパソコンに保存したデータは全て削除されてしまいます。

サーバーやデータベースにおいては、リストアして戻したデータを正常化し、問題なく動かせる状態にすることがリカバリーです。
通常、データベースにはデータファイルとログファイルがあります。データファイルをリストアしただけでは、基本的にデータは利用できません。リストアしたバックアップデータに最新のログを適用することで、障害が発生する以前の状態に戻すことが可能となります。

リストアやリカバリーを実施する際の注意点

リストアやリカバリー、バックアップといった作業は役に立つ反面、方法を間違えると別のトラブルにつながる可能性があります。
作業を行う時は、以下の点に注意が必要です。

1. リカバリーではパソコンのデータが消えてしまう
パソコンでリカバリー作業を行うと、保存していたデータは全て消えてしまいます。バックアップしていないデータは復元できなくなるため注意しましょう。
パソコン内に大切なデータを保存している場合は、必ずバックアップを取っておくことが重要です。

2. 時間がかかる
リストアやリカバリーの作業は、長い時間がかかる点にも注意が必要です。データ容量などにもよりますが、数時間ほどで終わる場合もあれば、半日以上かかることもあります。
リストアやリカバリーの作業は、時間に十分な余裕があるタイミングで行うと良いでしょう。

また、リストアやリカバリーに備えて行うバックアップ作業も、データの容量によっては長い時間を要します。

リストアが行えないことも

ストレージに何らかの問題が発生していて、バックアップやリストアがうまく実行できないこともあり得ます。
また、バックアップを取っていたとしても、予想外のエラーによってデータが復元できなかったり、消失したりする可能性もゼロではありません。

1ヶ所にバックアップを取って安心するのではなく、複数の場所にデータのコピーを残しておくと、データの安全性が増します。万が一、バックアップしたデータからリストアできない際は、データ復旧の専門業者に依頼してデータを取り出してもらいましょう。

リストアの理解を深めて重要なデータを守ろう

リストアとは、バックアップしたデータを復元する作業のことです。基本的には、正しい手順で行えば問題なく実行できるものの、ストレージやデータに何らかの問題が発生していて、リストアが正常に行えないことも考えられます。
そのような際に、自力で対処するのは困難です。データが完全に使えなくなる前に、信頼できるデータ復旧業者に依頼してデータの取り出してもらうことをおすすめします。