パソコンで仕事などの作業をしている際に、外付けHDD(ハードディスク)が突然認識しなくなり、作業が進められなくなったという経験をお持ちではないでしょうか。外付けHDDに不具合が起こる原因としては、さまざまなことが考えられます。復旧させるためには、トラブル時の注意点に配慮しながら、慌てずに対応することが重要です。
この記事では、外付けHDDの障害の種類や認識されない場合の対処法、不具合発生時に注意したい点などをご紹介します。
1 外付けHDDを認識しない原因
外付けHDDを認識しなくなる原因は、大きく3つに分けられます。状態を悪化させないためにも、トラブルが発生したら原因を把握することが大切です。
外付けHDDが認識されない時に考えられる原因をご紹介します。
1-1 物理障害
物理障害とは、外付けHDDが物理的に破損し、正常に起動できない状態のことです。落下による衝撃や水没、落雷によるショート、異なる機器のACアダプタを接続したことによる過電流、熱暴走、経年劣化などが原因で起こります。異音や異臭などが、物理障害時の具体的な症状の例です。
物理障害によって外付けHDDが認識されなかったとしても、保存したデータそのものは消えずに残っている可能性があります。
ただし、復旧するには本体の分解やクリーンルームでの部品の交換などが必要な場合があり、個人での対応は難しいといえるでしょう。
1-2 論理障害
外付けHDD本体は正常に認識されているものの、保存してあるデータに不具合が生じた状態が論理障害です。データが消えてしまった、文字化けした、フォーマット(初期化)を要求されるといった現象が発生します。
論理障害の原因としては、誤操作によるデータ削除や、読み書き中の強制終了によるファイルシステムの破損、ウイルス感染などが考えられます。
1-3 電源やケーブルの接続不良
ACアダプタや電源タップ、USBケーブルが正しく接続されていない、接続している周辺機器の数が多いなど、電源供給や接続の不良が原因で外付けHDDが正常に認識されないこともあります。 アダプタやケーブル類を正しく接続しているのに認識されない場合は、ケーブル自体の断線が考えられます。
2 外付けHDDを認識しない時の対処法
パソコンが外付けHDDを認識しない時は、原因ごとに適した対処を行うことが重要です。ここでは、外付けHDDを認識しなくなった時の対処法をご紹介します。
2-1 電源周りを確認する
最初に、ACアダプタなど外付けHDDの電源周りを確認してみてください。他の機器のACアダプタと間違えて接続し、外付けHDDに電力供給がされていないことも考えられます。 具体的な確認箇所の例としては、以下が挙げられます。
- 本体の電源ランプが点灯しているか
- ACアダプタが正しく接続されているか
- 電源タップのスイッチがオフになっていないか
- 電源プラグがコンセントに正しく差し込まれているか など
同じコンセントに別の機器を接続してみて、電源が供給されるかどうかも確認すると良いでしょう。
また、USBケーブルからの電源供給で動作する「バスパワー」タイプの外付けHDDの場合は、他の周辺機器の影響で電力が不足している可能性もあります。他の周辺機器を取り外したり、USBハブやドッキングステーションを使わずにパソコンに接続したりするのも有効です。
2-2 他のケーブルで接続してみる
電源周りに問題がない場合、次に疑われるのはUSBケーブルの接続不良です。外付けHDD側とパソコン側の両方で、USB端子が奥までしっかり差し込まれているかを確認してください。
正しく接続しても不具合が解消されない時は、ケーブルが断線している可能性があります。別のUSBケーブルを使って、接続を試してみましょう。
ケーブルを交換することで、トラブルの原因が外付けHDD本体にあるのか、USBケーブルにあるのかを判別できます。また、パソコンに複数のUSBポートがある場合、別のポートに接続してみることも有効です。
ただし、抜き差しを頻繁に繰り返すと症状が悪化する恐れがあるため注意しましょう。
2-3 デバイスマネージャーを確認する
外付けHDDやケーブルではなく、パソコン側に問題がある可能性もあります。外付けHDDが起動しているのに認識されない時は、パソコンのデバイスマネージャーを確認してみましょう。
【Windows10/11の場合】
- Windowsアイコンを右クリックして、「デバイスマネージャー」を選択する
- 「ディスクドライブ」または「ユニバーサルシリアルバスコントローラ」を開き、外付けHDDが表示されるか確認する
機器名がなかったり、機器名の横に「!」が表示されていたりする時は、ドライバーの再インストールや更新プログラムのアンインストールといった対処が必要です。
【Macの場合】
- 「Finder」を選択し、アプリケーション内にある「ユーティリティ」をクリックする
- 「ディスクユーティリティ」を選択して、外付けHDDが表示されているか確認する
外付けHDDが認識されていない時は、「マウントされていません」と表示されます。「マウント」をクリックして、外付けHDDが認識されるか試してみてください。
2-4 アクセス権限を確認する
業務用のパソコンは、情報セキュリティの兼ね合いで外付け機器へのアクセス権限が制限されていることもあります。特に、会社から貸与されたパソコンでは、このケースが多いと考えられます。
外付けHDDがアクセス制限の問題で認識されない場合は、システム管理者に問い合わせて権限を付与してもらいましょう。
2-5 新品の外付けHDDならフォーマットも有効
新しく購入した外付けHDDの中には、フォーマット(初期化)が必要な製品もあります。外付けHDDは認識されているのに開くことができない時は、フォーマットを実行するのも有効です。
フォーマットが必要かどうかは、外付けHDDのフォルダをクリックしてみるとわかります。「フォーマットされていません」「ドライブにアクセスすることができません」などのメッセージが表示された時は、フォーマットを行ってみてください。
ただし、フォーマットを行うと内部のデータは消えてしまいます。大切なデータが入っている時は、フォーマットは控えましょう。
3 外付けHDDが認識しない・電源が入らない時の注意点
外付けHDDが認識されなかったり、故障が疑われたりする時は、すぐに使用を中止することが大切です。障害が起こっているのに再起動を繰り返したり、通電を続けたりすると、状態がさらに悪化して復旧が困難になることもあります。
外付けHDDの障害が疑われたら、すぐに正しい方法で電源を切り、通電を行わないようにしましょう。
また、「フォーマットしますか?」などとメッセージが表示された時に、安易にフォーマットしないことも大切です。
4 データ復旧ソフトの利用は慎重に検討を
外付けHDDが認識されているにも関わらず、フォルダやファイルが開けない時は、データに問題が起きている可能性が高いです。軽度の論理障害ならデータ復旧ソフトの利用で解決が見込めるものの、逆に状態が悪化する可能性もあります。
安全に復旧させたい場合は、データ復旧の専門業者に任せるのがおすすめです。専門業者に依頼すれば、重度の論理障害や物理障害があったとしても、外付けHDDを復旧したり、保存データを取り出したりできます。
ただし、技術力の低い業者に依頼すると、外付けHDDを復旧できない恐れも捨てきれません。技術力が高く、信頼できる業者に依頼することが重要です。
5 データを守るためには早めに専門業者へ相談しよう
外付けHDDが認識されない原因としては、物理障害や論理障害、電源・ケーブルの接続問題などが考えられます。症状を悪化させないためにも、不具合が疑われた場合はすぐに電源を切り、使用を中止することが重要です。
症状悪化の原因になりかねないので、自分で原因を確かめようと電源プラグやケーブルを頻繁に抜き差しするのは避けましょう。無理に自力での復旧を試みると、かえって困難な状況を招いてしまう恐れがあります。外付けHDDに何らかの障害が発生した場合は、早めに専門業者に相談するのがおすすめです。