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eMMCとは?
SSDとの違いを比較しながら解説

SSDトラブル・基礎知識
更新:2023.09.19
eMMCとは?<br> SSDとの違いを比較しながら解説

スマートフォンやタブレット、ノートパソコンのカタログに、「SSD」や「eMMC」と記載されていることがあります。SSDは知っていても、eMMCについては詳しくわからない方が多いかもしれません。具体的に、eMMCとはどのようなパーツのことなのでしょうか。
この記事では、eMMCの概要やSSDとの違いなどについてご紹介します。


1 eMMCとは
2 eMMCとSSDとの比較
   2-1 サイズや消費電力
   2-2 転送速度
   2-3 容量
3 eMMCは交換(換装)できる?
4 利用目的に合わせてストレージを選ぶことが大切

eMMCとは

eMMCは「embedded Multi Media Card」の頭文字を取った略称で、「イーエムエムシー」と読みます。SSDと同様に、NAND型のフラッシュメモリを利用した内蔵ストレージの規格のひとつです。フラッシュメモリとは、電気を通してデータを書き込めば、自ら削除などを行わない限り、電源を切ってもデータが消えないメモリのことを指します。

名前こそSDカードの基礎になった「MMC」というメモリーカード規格に準じていますが、見た目はカードではなく、基板にフラッシュメモリが直接取り付けられています。NAND型フラッシュメモリと読み書きを制御するコントローラーが、ひとまとめになっているのも特長です。
「基板に直接取り付けられたSDカードやUSBメモリのような記憶媒体」をeMMCだと考えると、わかりやすいのではないでしょうか。

eMMCとSSDとの比較

eMMCと同じく、NAND型フラッシュメモリを利用したストレージとして、SSDがあります。基本的なデータの読み書きに関する仕組みは似ているeMMCとSSDですが、違いとしてはどのような点があるのでしょうか。
サイズや消費電力、転送速度、容量などの各要素に分けて、eMMCとSSDの違いをご紹介します。

1.サイズや消費電力
eMMCは、HDDやSSDといった他のストレージに比べると小型で、消費電力も低いです。eMMCをストレージに採用すれば、デバイスのサイズや消費電力を抑えることができます。
機器の小型化・省電力化に貢献できるため、eMMCはタブレットやスマートフォン、デジカメなどのポータブルデバイスで使用されるのが一般的です。また、一部のノートパソコンにも搭載されています。

2.転送速度
データの読み書き速度に関しては、eMMCよりもSSDの方が優れています。eMMCの最大転送速度はeMMC 5.0の場合で最大400MB/sとなっていますが、SSDの最大転送速度はそれよりはるかに高速です。ただし、ディスクを物理的に回転させてデータの読み書きを行うHDDと比較すると、eMMCの方が高速となっています。
つまりデータの転送速度は「(速)SSD>eMMC>HDD(遅)」という順番になります。SSDほどではないものの、パソコンの起動などは比較的高速で快適です。

3.容量
eMMCで保存可能なデータの容量は最大128GBで、スマートフォンなどに搭載されるのは容量32GBや64GB程度のものが主流です。一方、SSDはそれ以上の容量を備えているものが一般的で、500GBや1TBといった大容量の製品を選ぶこともできます。

eMMC単体だと容量が小さいため、すぐに容量不足に陥ってしまう可能性が高いです。内蔵ストレージがeMMCの機器を使用している場合は、外付けのHDDやSSD、オンラインストレージ(クラウドストレージ)などを活用するのがおすすめです。複数のストレージを効率的に活用すれば、日々の使用で増えていくデータを頻繁に消去する必要がなくなり、たくさんのデータを保存できるようになります。

eMMCは交換(換装)できる?

eMMCは、機器の内部にある基板(マザーボード)上にはんだ付けされています。ユーザーが自分自身で取り外すのは難しく、SSDやHDDとはサイズも異なるため、eMMCを交換(換装)して容量を増やすことは不可能です。
eMMCを搭載したデバイスでストレージ容量を確保したい場合は、外付けのストレージを用意したり、オンラインストレージなどを活用したりする必要があります。

利用目的に合わせてストレージを選ぶことが大切

eMMCは、スマートフォンやタブレット端末、一部のノートパソコンなど、小型のデバイスに多く採用されているストレージです。小型かつ省電力、データ読み書きがHDDより高速などのメリットがある一方で、データ保存容量は主流のもので64GBや32GB、最大でも128GBと少なめです。
また、SSDやHDDとはサイズが異なり、基板上に固定されていることから、換装はできません。たくさんのデータを保存する必要があるなど、デバイスの用途によっては容量不足に陥ることも考えられます。eMMC搭載の製品を使用する際は、外付けストレージやオンラインストレージを活用するなど、本体以外でデータを保存できる手段を確保しておくことがおすすめです。

同じフラッシュメモリを採用しているストレージとはいえ、eMMCとSSDは特長が大きく異なります。eMMCの特長を頭に入れておき、製品を購入する際の参考にしてみてください。

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