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業務上横領とは?
被害に遭った時の対処法と再発防止のポイント

フォレンジックサービスの基礎知識
更新:2025.01.29
業務上横領とは?<br>被害に遭った時の対処法と再発防止のポイント

金銭や物品を着服する「横領」は、毎年のように多くの企業で発生している犯罪行為です。
企業内で横領が発覚した際は、犯人が罪を犯した証拠を収集する必要があります。
具体的に、横領行為の証拠はどのように収集すれば良いのでしょうか。
ここでは、業務上横領の概要や、自社で発覚した際の対処法、被害を防ぐためのポイントなどをご紹介します。

目次– 読みたい項目からご覧いただけます。

1 業務上横領とは

横領とは、他人から預かっている金品を自分のものとして扱う犯罪のことです。
刑法では「横領罪(単純横領罪)」「業務上横領罪」「遺失物横領罪」の3つに分けられています。
業務上横領は、業務上自分が専有している他人の金品を私的に利用したり、処分したりする行為です。
具体例としては、次のような行為が挙げられます。

・顧客から預かった現金を自分の口座に振り込み、会社には未収金として報告する
・売り上げを実際よりも低く申告して残りを着服する
・架空の請求書を発行して会社の口座から預金を引き出す
・会社の備品を不正に持ち出し転売する など

金銭の着服だけでなく、物品を売り払う、持ち逃げする、隠すといった行為も横領に当たる点がポイントです。
業務上横領の懲役は10年以下となり、刑事責任は犯罪が発生してから7年間追及できます。
民事上の損害賠償請求は、損害と犯人を知った時点から3年間、横領された時点から20年間の早い方が期限です。

2 業務上横領が起きた時の企業側の対応策

業務上横領は、会社の所有している金品が対象になるため、3つの横領罪の中でも被害額が大きくなる傾向にあります。
企業側は金銭的損害だけでなく、信頼の損失につながる恐れがある点にも注意が必要です。
従業員による横領行為が発覚した時は、次のような対処が求められます。

2-1 証拠収集・事情聴取

業務上横領の犯人を見つけるには、その人が横領を行った事実を証明する証拠が必要です。
まずは、証拠収集を行うようにしましょう。
監視カメラの映像や未計上の領収書、横領行為に関係する内容が記されたメール、口座へのアクセス履歴、本人の自白、関係者からの証言などが、具体的な証拠の例です。

ただし、横領の調査が行われていると犯人に悟られると、証拠となるデータを破棄されてしまう恐れがあります。
証拠収集は迅速に行い、本人や関係者への事情聴取は、他の証拠がそろってから行うようにしてください。

2-2 損害賠償請求・刑事告訴

業務上横領では、着服された金品分の損害が企業側に発生します。そのため、横領した犯人に対して損害賠償請求を行うことが可能です。
犯人には任意で金品の返還を求め、それに応じない場合は民事訴訟を行うと良いでしょう。
犯人に身元保証人がいる場合は、そちらに請求できるかどうかの検討も必要です。

また、状況によっては刑事告訴を行うことも考えられます。
犯人が検挙される可能性は高まる一方で、内部で問題があったことを社会に広く知られる、被害額の弁償を受けにくくなるといったデメリットがあるため、刑事告訴をするかどうかは慎重に判断してください。

2-3 懲戒処分

横領は犯罪行為です。金額の多寡にかかわらず、業務上横領を行った従業員は、何らかの懲戒処分を下すことが基本になります。
不当解雇だと訴えを起こされる可能性があるため、懲戒解雇に踏み切る場合は、十分な証拠を確保しておくことが重要です。

懲戒処分は、就業規則にその根拠となる規定が明記され、社員に周知されていないと行えません。
前もって就業規則に、業務上横領による懲戒処分に関する規定を記載しておくようにしましょう。

3 横領を防ぐためのポイント

業務上横領をはじめ、社内での不正行為を減らすには防止策を検討・実施することが大切です。
業務上横領を防ぐために、次のような対策の検討をおすすめします。

3-1 横領できる機会を減らす

横領できる機会自体を減らせば、横領行為が起こる可能性は低くなります。
出入金の際は必ず伝票を作成する、お金の動きを複数人が把握できる状況を作っておくなど、社内ルールの整備を行いましょう。

また、定期的にデータの監査を行うなど、金品の記録をすぐ把握できる状態を保つことも、横領の抑止力になります。

3-2 横領の違法性を従業員に周知する

前述のとおり、横領は金銭の着服だけでなく、物品の不正な私的利用なども該当します。
横領と思っていなかった、重大な犯罪だと認識していなかったなど、従業員の意識の低さが原因で起きてしまうこともあるでしょう。
横領の内容に加え、その違法性や発覚した際の処罰などを明確にして、従業員に周知することも、犯罪を未然に防ぐうえでは重要です。

4 デジタルデータの収集は専門業者に依頼しよう

メールでのやり取りや領収書など、横領の証拠はデジタルデータの形で得られることも多いです。
一方で、パソコンやスマートフォン上のデータは改ざんできるため、スクリーンショットやコピーは公的な証拠として認められないケースがあります。
犯人に証拠となるデータを消されてしまう恐れがある点にも注意が必要です。

横領の証拠を集めたい時は、電子データの収集・解析を行うデジタルフォレンジックの専門業者に調査を依頼することをおすすめします。
デジタルフォレンジックなら、データの証拠保全を行い改ざんがないことを証明できるため、裁判などでも公的な証拠として使用することが可能です。

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5 横領はデジタルフォレンジックで証拠をつかもう

IT化が進む現代は、横領の証拠がパソコンやスマートフォンなどに保存されたデジタルデータから得られることも多くあります。
ただし、犯人によってそれらの証拠が消されてしまう恐れがある点に注意しなければいけません。
業務上横領が発覚した時は、すぐにデジタルフォレンジックを依頼し、適切に証拠保全を行うことを心がけましょう。

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