データ復旧サービス導入事例

視覚障害者生活情報センターぎふ(岐阜アソシア)

「視覚障害者生活情報センターぎふ」副館長、点訳指導部長 山田智直氏(写真中央)にロジテックのデータ復旧サービスを活用した理由と経緯について詳しく聞きました。

大量の点字翻訳データを格納したRAID1∔0 NASのデータ復旧を、ロジテックに依頼しました

視覚障害者生活情報センターぎふ(岐阜アソシア)
■対象ハードディスク
I・O DATA(アイ・オー・データ機器) HDL-GT3.0 NAS(RAID1+0)
■復旧スケジュール
解析開始~調査報告 2012/06/12 ~ 6/15
復旧開始~復旧終了(発送) 2013/10/30 ~ 10/30
※調査から復旧完了まで5日
「視覚障害者生活情報センターぎふ」について

「視覚障害者生活情報センターぎふ」は、社会福祉法人「岐阜アソシア」が運営する施設です。点字・録音テープによる図書や各種生活情報の提供など、「視覚障害者とともに生きる社会」を実現するための事業を行っています。(※ 本文中で「岐阜アソシア」と表記があった場合、原則として「視覚障害者生活情報センターぎふ」を指すものとします)

点訳・音訳データを格納したNASが読み取り不能になる

今回、岐阜アソシアではロジテックにどのようなデータ復旧を依頼したのでしょうか。

ロジテックには、書籍の点字翻訳データなどを格納したハードディスク(※ NAS、RAID 1+0)のデータ復旧を依頼しました。

書籍や雑誌を、視覚障害者でも楽しめるよう、点字に変換する作業を「点字翻訳」、「点訳」といい、この作業は、全国のボランティアの皆様が分担して行ってくださっています。村上春樹や曾野綾子などその時その時ベストセラーを始め、週刊文春など週刊誌も、点字訳・音訳(読み上げ録音)していただけます。ボランティアの皆様には感謝に耐えません。

岐阜アソシアでは、約100人のボランティアさんが年間100冊の点訳・音訳を行ってくださっています(※)。

ところが、その点訳データを保管していたNASが、ある日、読めなくなってしまったのです。

※ 全国視覚障害者情報提供施設協会のホームページに行けば、全国のボランティアさんが点訳した数々の点訳書籍データをダウンロードできます。

最初はRAIDのミラーリング機能があるから大丈夫と思っていたが…

NASはどのように読めなくなったのでしょうか。

ある日、一番乗りで出勤して事務所に入ると、ピーポーピーポーと警告音が鳴っていました。音はハードディスクが置いてあるあたりから聞こえます。

パソコンの電源を入れてみましたが、ディスクを認識している気配がありません。ということは、この警告音はハードディスクの故障音なのかと。

しかし、この時点では、さほど心配はしていませんでした。RAID 1+0 のミラーリング機能により、自動バックアップが取れているのだから大丈夫、問題ないと高をくくっていました。

自動バックアップからデータを復旧してもらうために、当施設のシステム運用をお任せしているヌーファクトリー(※)の田中さんに連絡しました。

ところが、田中さんからは、「ディスクはもう壊れています。バックアップも不能です」という報告が来ました。

※ ヌーファクトリーは、障害者のパソコン活用を支援している会社です。

RAIDだから大丈夫と思っていたけれど…

田中様に質問です。「ディスクはもう壊れていた」とは具体的には。

(田中様):岐阜アソシアに行って、最初NASを見たときは、ディスク本来のランプが3つ点いていました。最初は「なるほどRAIDだからディスクが3つ 生き残っているのだな」と思ったのですが、製造元に問い合わせたところ、話は逆で「ディスクが3台壊れている」という意味でした…。

まずは製造元にディスク本体を送り、調べてもらいました。しかし「ハードディスク本体は直せるが、中身のデータは消えてしまう」という返答でした。

次にネットで「データ復旧」などの言葉で検索し、データ復旧会社を探しました。最初は、上位表示された、有名そうで、実績もありそうで、ホームページの作りも親切そうな、ある会社に電話してみました。

「ハードディスクを送れば、無料で見積もり」とあったのでさっそく送付。その後、見積もりが提示されてきました。

ところが、その金額が、びっくりするような高い額だったのです。

最初に連絡した会社の印象

どのぐらい高かったのでしょうか。

そうですね、軽自動車のいちばん安いのだったら新車で買えそうなぐらいの額でした。

あんまり高かったので即答をためらっていると、「その見積もりでOKかどうか、すぐに答えよ」と迫ってきました。「データは生ものであり、こうして放置している間にも損傷が進んでいく。早く決断して欲しい」という、不可解な説明もありました。

決断できず、迷っていると、今度は値引きをしてきました。まず25%引いてきて、次には50% オフにしてきて、「ここまで値下げしている。はやく決断してほしい」といいます。安くなるのはけっこうなことですが、だったら最初の提示額は何だったの か。

どうも怪しいと思い、ネットで評判を調べたところ、「強引なやり口に押し切られて、そこに依頼したけれど、いまは後悔している」という旨の書き込みが多くありました。

これはダメだなと思い、その会社への依頼は中止。ハードディスクは返してもらうことにしました。返却時には「最初から見積もりだけのつもりだったのだろう」と厳しい言葉を浴びせられました。

ロジテックの印象

その会社への依頼を見送った後、次はどのような行動を取ったのでしょうか。

(田中様):次は同じく検索で見つけた、値段がとても安い、東京のこじんまりした会社に電話してみました。しかし、そこからの返答は「すみません、(そのデータの復旧は)、ウチでは無理です」というものでした。

その次に連絡したのがロジテックです。最初の会社は、復旧できるとはいうものの費用が高額で不明瞭。次の会社は、価格は安価だったけれど、技術が不十分。

では、その2社の中間にありそうな会社なら良いのかなと思い、ロジテックを選んだ次第です。

まずはディスクを送って見積もりを求めました。見積価格は、「最初の会社が最初に提示してきた金額のちょうど半額」でした。また、「修復可能なファイルの リスト」の提供もありました。そのリストの意味は、「データ復旧を正式依頼した場合には、そのリスト内のファイルは【必ず】修復する」という意味だとのこ と。自信に満ちており、また良心的だと思いました。

というのも、最初の会社に見積もりを依頼したときは、「直せる」という回答はあったものの、復旧可能ファイルのリスト提供はなかったのです。では「直せ る」とはどういう定義なのかといえと、「ファイルが1つでも修復できたら、それは修復できたということ」という不可解な説明でした。

いろいろ比較してもロジテックの方が信用できそうです。さっそく、山田副館長に、「ロジテックが良さそうです」と報告しました。

ロジテックへの印象(2)

山田様に質問です。GNUからの、その報告を聞いてどう思いましたか。

(山田様):第一印象としては、「へえ、あのロジテックがデータ復旧もやっているのか」と思いました。

私はパソコンには、MS-DOS以前の、パソコンを起動したらBASICが立ち上がってくる時代から親しんでいます。一太郎 バージョン2で、音声読み上げが可能になったときに、おぉ、便利になったなあと感激したことを覚えています。

以来、パソコンは仕事に不可欠な道具であり、また個人的な趣味としても親しんできました。(※ 目が見えなくてマウスが使えないので、Windowsも、すべてキーボードで操作します。各種コマンドを覚えれば可能です)。

ロジテックのことは、「パソコン周辺機器メーカーの老舗」として良く知っていました。あのロジテックのデータ復旧なら大丈夫だろうと思いました。

その後、予算も確保できたので、ロジテックに正式にデータ復旧を依頼しました。数日後、データは無事に復旧されて戻ってきました。

復旧された点訳データを開いたときは、「いったん壊れたデータを蘇らせるなんてことが、本当にできるのか。すごいなあ」と感心しました。

データ復旧会社を選ぶときに気をつけるべきだと思うこと

いまデータ復旧を検討している人に向けて「ある種の先輩ユーザー」としてアドバイスなどあればお聞かせください。

ありきたりな言い方にはなりますが、宣伝が上手な会社より技術が優れた会社の方が良いと思います。

また「修復可能ファイルのリスト」を出してくれるかどうかも、業者を見分ける基準になると思います。自信がなければ、リストは出せませんから。

ロジテックさん、このたびは、大事な点字データを復旧していただき、ありがとうございました。これからがんばってください。応援しております。

ロジテック技術者より
コメント

今回はどのような障害だったのか
お客様からはNASの4台中3台のハードディスクにエラー表示が出ているとの申告がありました。専用装置での解析の結果、ご申告のとおり3台に物理損傷が見つかりました。障害媒体のRAID構成は1+0でしたが、RAID0構成の2セットのうち、いずれも同じ側のハードディスクにやや重い物理障害が認められるというやっかいな状態でした。
どのような技術対応を行ったか
ミラー構成のRAID0ドライブセットのいずれにも障害があるため、そのままではRAID構成の回復は見込めませんし、不良セクター部分がデータ欠損となります。 そこで物理損傷を負った3台のうち、最も重度の1台をクリーンルーム内で開封し、応急的に機能回復処置を行いました。 完全回復には至りませんでしたが、かなりの領域が読み取り可能になったため、可能な限りイメージデータの抽出を行いました。 その抽出データを、もう1台のミラーセットのドライブから抽出したデータの欠損部分にはめていく作業を行いましたが、各ドライブには障害時期の違いによる不完全なミラー領域があるため単純な切り貼り作業はできず、前後のデータとの整合性を確認しながらの手作業となっています。 これらの作業の結果、ファイルシステムの不整合や欠損を解消することができ、お客様のデータをほぼそのままの形でご提示することができました。
今回の修復をふりかえって
イメージデータを細かく分割し1つずつ確認しながら当てはめていくのは、膨大なピース数のジグソーパズルのような根気を要する作業でしたが、お客様のファイルシステムがきれいに再現できた時には思わずガッツポースをとってしまいま した。

※ 取材日時 2013年11月
※ 文中の数字、データはいずれも取材時点のものです。

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