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Column Vol.011 ハードディスクに採用されている技術 Volume02

 今回も前回に引き続き、現在のハードディスクに導入されている技術を見ていきます。

流体動圧軸受(Fluid Dynamic Bearing)

写真1 ハードディスクのプラッター(磁気ディスク)を回転させるスピンドルモーターは、プラッタ取り付け軸および軸受が一体化した構造になっており、部品点数の低減による生産性の向上とコストダウンの両立を実現しています。

 ハードディスクの記録媒体であるプラッター(磁気ディスク)は4,200回転/分〜15,000回転/分と非常に高速回転しています。このプラッターを回転させるモーターはプラッター中心部分にあって「スピンドルモーター」と呼ばれます。(写真1)スピンドルモーターの回転軸に採用されている軸受には、古くからボールベアリング(玉軸受)が使用されてきましたが、最近ではスリーブベアリングの一種である流体動圧軸受が使用されています。
 ボールベアリングは自転車の車軸や乗用車などにも多用されている一般的な軸受構造で、転がり抵抗が少なく発熱に強いなどのメリットがあります。しかしこれをハードディスクで使用するには、金属同士が擦れ合うことによる振動や騒音、摩耗に伴う金属粉による内部汚染を防ぐためのシール機構が必要などのデメリットがありました。そこで軸と軸受の間をオイルで満たし、軸が回転することで潤滑油に動圧を発生させる流体動圧軸受が開発されました。回転中の軸と軸受けはオイルの動圧によって非接触状態となり、非常に低い摩擦抵抗となることを利用しています。(図1)ボールベアリングのような機械的接触部分を持たないことから騒音や振動の発生が少なく、ハードディスクの軸受としては理想的ですが、温度変化によるオイル粘性の変化や、動圧が発生するまでの起動時抵抗が大きいなどのデメリットもあります。前者に関してはオイルの改良によって、後者に関してはモーターの改良とランプ方式のヘッド待避機構の採用などにより改善が行われ、現在ではエンタープライズ向けの一部のモデルを除いて、ほとんどのハードディスクに流体動圧軸受が採用されています。中でもブルーレイレコーダーなどのAV機器へのハードディスク導入には、この流体動圧軸受による静音化が重要な役割を果たしたと言われています。
 なお流体動圧軸受を採用したハードディスクでは、落下や強い衝撃などによってシールが破損した場合、軸受のオイルが外部に漏れだしてしまう可能性があります。漏れたオイルによる内部汚染や、シール損傷によりオイルが不足した状態での稼働により軸受が焼き付いて回転しなくなるなどの障害も起きます。従ってハードディスクへの衝撃には充分注意して取り扱うことが必要になります。

図1 一般的な玉軸受と流体動圧軸受の違い。流体動圧軸受では軸受内部をオイルで満たし、軸と軸受にへリングボーン溝と呼ばれる表面処理を施すことでに動圧を発生させ、摩擦を大幅に低減します。しかし停止時の接触面積が大きいため、起動には大きなトルクが必要になります。

ハイブリッドハードディスク(Hybrid Harddisk)

 ハードディスクは非常に高速かつ大容量のストレージデバイスですが、可動部分を持たないSSDなどの半導体メモリストレージと比べると、ヘッドシークや回転待ちなどのメカニカルな待ち時間が発生する分、アクセス速度に劣るデメリットがあります。一方でフラッシュメモリを使った半導体ストレージは高速かつ低消費電力であるというメリットを持つ反面、記録媒体であるフラッシュメモリがその価格を大半を支配しており、大容量化が難しいという課題を持っています。容量あたりの単価については、SSDとHDDの間にはおよそ数倍から十数倍の格差があるのが現状です。フラッシュメモリの価格は急速に下がってきてはいますが、ハードディスクの記憶容量の増大がほぼ同じペースで進んでいる関係で、両者の容量単価の差は今後も急速には縮まらないと予想されます。
 実際のストレージの利用実態を見てみると、必ずしもアクセス速度が重要視されないデータも少なくありません。例えば動画データや音声データなどは、それらを記録・再生するのに必要な転送速度が確保されれば、必ずしもそれ以上高速である必要がない場合がほとんどです。これらのデータは速度よりも記録容量が優先されることが多いため、記録媒体としてはハードディスクの方が適していると言えます。一方でOSやアプリケーションなどを構成するファイルは、そのアクセス速度がユーザー体感(操作性)に大きな差を与えます。このようなデータは小さなサイズの多くのファイルで構成されているケースが多いため、ランダムアクセスに強い半導体ストレージが適している用途といえます。

写真2,3,4 市販されているハイブリッドハードディスクには何種類かありますが、いずれも一般的なハードディスクをベースにしてフラッシュメモリとその制御チップを搭載した形になっています。このため、外観上は通常のハードディスク(左)とハイブリッドハードディスク(右)の違いはほとんどありません。

 そこでハードディスクとフラッシュメモリを組み合わせて、大容量と高速性のいいとこ取りを狙ったのがハイブリッドハードディスクです。(写真2)ハイブリッドハードディスクでは、機械的な機構部分は従来のハードディスクと全く同じですが、その制御基板上にフラッシュメモリを搭載している点が異なります。(写真3、4)ハイブリッドハードディスクでは、搭載された専用のコントローラにより、アクセス頻度の高いデータを選んでフラッシュメモリに格納し、それ以外のデータをハードディスクのみに記録します。(図2)アクセス頻度の高いデータが要求された場合には、アクセス速度の遅いハードディスクからではなく、搭載したフラッシュメモリからデータを優先的に読み出すため、通常のハードディスクよりも高速に動作します。多くのハードディスクにはデータを一時的に蓄えてアクセスを高速化するためにキャッシュ(バッファ)メモリが数十メガバイト搭載されていますが、ハイブリッドハードディスクはこれを大容量(数ギガバイト〜数十ギガバイト)のフラッシュメモリに置き換えて、OSを丸ごとキャッシュできるようなサイズにしたもの、と考えることもできます。またキャッシュメモリ(DRAM)とは異なり、フラッシュメモリは電源を切っても内容を保持しますので、次回起動時にもその内容が利用され、システムの起動が高速化されるメリットがあります。

図2 一般的なハードディスクでは、ヘッドをプラッターの目的の位置まで移動し、そこからデータを読み出しますが、ヘッドの移動とプラッタの回転待ちに非常に時間が掛かります。同じデータに再びアクセスがあった場合も、同じ動きでデータを読み出すので同じ時間が掛かります。ハイブリッドハードディスクも最初のデータ読み出し時の流れは普通のハードディスクと同じですが、読み出したデータが同時にフラッシュメモリに記録される点が異なります。同じデータに再びアクセスがあった場合、フラッシュメモリにデータがあればそちらからデータを読み出し、プラッターへのアクセスを伴わないので、非常に高速にアクセスできます。

多段アクチュエータ(Multi Stage Actuator)

図3 通常のヘッドアクチュエータは、アクチュエータ全体をボイスコイルモーターでスイング(回転)させることでヘッドをシークさせますが、多段アクチュエータではこれに加えてヘッドキャリッジを個別にわずかに移動させる機構を設けることで、高速かつ高精度なヘッド制御を可能にします。

 ハードディスクの構造は比較的シンプルで、各メーカーの構造的な違いは現在はほとんど見られなくなりましたが、その構造そのものにメスを入れて大容量化や高速化を実現しようという試みの1つが多段アクチュエータです。ハードディスクの磁気ヘッドはアクチュエータと呼ばれる移動式のアーム先端部に取り付けられており、これをボイスコイルモーターでアクチュエータごと回転し、目的のトラックまでヘッドを移動するのが現在の方式です。(図3)この方式では、全ヘッドを含むアクチュエータ全体を駆動するため、その移動速度やサーボ追従性には限界がありました。そこでアクチュエータとヘッドキャリッジ(ヘッド取付部分)とを分離し、その間に可動機構を組み込むことで、より繊細かつ高速なヘッド位置調整を可能にするのが多段アクチュエータの基本的な考え方です。
 多段アクチュエータでは、ボイスコイルモーターで駆動されるベースアクチュエータとは独立して、各ヘッドチップが搭載されたヘッドキャリッジを個別に駆動します。ヘッドキャリッジはベースアクチュエータに比べて非常に軽量なので、より高速に位置決めを行うことが可能になります。これによって目的トラックへの到達や隣接トラックへのシークなどが高速化されるだけでなく、読み取り時のトラック追従性能を大幅に改善できるため、今後のさらなるトラック密度向上にも極めて有効なテクノロジーだとされています。
 多段アクチュエータについては、すでに2段アクチュエータを採用したモデルが国内メーカーよりリリースされています。今後技術向上と量産による低価格化が進めば、一般的なモデルでもこの技術が導入される可能性があります。

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